1906年に設立された、イタリア・トリノの自動車メーカーがランチア。戦前はフルモノコックボディを持つ小型自動車「アプリリア」がヒットし、戦後になっても生産された。そして「アウレリアGT」などの高性能なグランドツアラーもリリースするなど、上品な佇まいの高性能車というイメージを確立していった。1969年にはフィアットに買収され、以降現在まで同社の高級ブランドという位置付けとなる。また、ランチアの名はモータースポーツシーンにおいても有名だ。とくに70年代に入ると、コンパクトクーペの「フルヴィアクーペHF」でWRCに参戦し、1972年には念願の初優勝を飾った。その後もWRCのグループ4に向けて専用開発された「ストラトス」、グループB車両の「ラリー037」、「デルタS4」などを開発し、WRCを席巻していく。グループBからグループAへとWRCのトップカテゴリーが変わると、ランチアのCセグメントハッチバック「デルタ」で参戦。年々改良を加えて進化させ、イタリア製のホットハッチとしても多くのユーザーに愛されるクルマとなった。モータースポーツでは華々しい結果を残す一方、1990年代から2000年代は目新しい市販車を生み出せず、現在はイタリア国内専売ブランドとなっている。