ドイツのヴォルフスブルクを拠点とするフォルクスワーゲン(Volkswagen AG)の設立は1937年。同じドイツ系メーカーのメルセデスやBMWとは異なり、戦前は実用的な国民車(=タイプI)を手がけていた。戦後もポロ、ゴルフなど安価で高品質な乗用車を中心とするラインアップだったが、走る楽しさに軸足を置いたファントゥドライブなモデルもちゃんと存在する。その代表格が、1975年に登場したゴルフ GTIだろう。これはリアルスポーツカーではないものの、実用的なハッチバックに高性能なエンジンや足まわりを与え、その後のスポーツモデルの礎となった。2000年代に入ると高性能仕様「R32」のバッジを掲げたゴルフIVが登場。これはGTIとはまるで別物の怒涛のパワーを誇った高性能スポーツモデルで、以降ゴルフの頂点に君臨することになる。そのほか、スポーティな性格が与えられたクルマと言えばシロッコ、コラードなどのクーペたち。メカニズムはゴルフなどをベースとするスペシャルティカーだが、3代目シロッコをベースに高性能な心臓を与えたシロッコ Rは本格的なFFスポーツとしてレースフィールドでも活躍している。 なお、2010年には「Volkswagen R GmbH」が新設され、Rモデルのポジションがより明確になった。