1976年、欧州フォードの世界戦略車として誕生したフィエスタ。その後モデルチェンジが繰り返され、2001年9月のフランクフルトショーで3代目フィエスタが発表され、その翌年に欧州市場で販売が開始された。フィエスタが属するのは、オペル「コルサ」やフォルクスワーゲン「ポロ」など多数のライバルがひしめく欧州Bセグメント。生産はスペインのバレンシア工場で行われ、ヨーロッパではメジャーな大衆車のひとつに数えられる。

　プラットフォームは、その1年後にデビューする2代目マツダ「デミオ」と共通のコンパクトシャシーを採用。このシャシーは、部位に応じて板厚の異なる鋼板をレーザー溶接してからプレスする「テーラードブランク工法」と呼ばれる手法を用い、高いボディ剛性を誇るのが特徴である。エクステリアは、奇をてらわず、実直でプレーンなデザインを採用。ボディタイプは、3ドアと5ドアのハッチバックのみとなる。サスペンションはフロントがマクファーソンストラット式、リヤがツイストビームと呼ばれるリジッドを採用。ブレーキは、フロントが10インチのベンチレーティドディスク、リヤが8インチのドラム式。タイヤサイズは14インチ〜16インチを装着する。また、2003年から1.6L車とディーゼル車には姿勢制御装置（ESP）が標準採用された。

　エンジンはすべて直列4気筒が搭載され、デビュー当初、ガソリンが1.3L（68ps）、1.4L（80ps）、1.6L（100ps）、ディーゼルが1.4L（68ps）の合計4機種がラインナップされた。トランスミッションは5速MTが全車に設定されるほか、1.6L車には4速ATも選択可能となり、AT比率の高い日本市場にも対応する。そのほか、「Durashift EST」と呼ばれる2ペダルMTが1.4Lガソリン車と1.4Lディーゼル車に設定される。さらに、2004年9月パリサロンでは、150psを発生する2.0Lエンジン搭載のスポーツモデル「ST」も追加設定された。日本市場への導入は、欧州デビューから大幅に遅れ、2004年4月に1.6Lガソリンの4速AT車が、2005年5月にスポーツモデルの「ST」が正規販売された。

　2006年型ではフィエスタ全シリーズにマイナーチェンジが施され、エクステリアを一新。具体的にはヘッドランプの内部形状が変更されたほか、リヤコンビランプ、フロント＆リヤバンパー、フロントグリルの形状がリニューアルされ、より新鮮味を増した。これと同時にインテリアの質感が高められたほか、装備の充実も図られた。2008年3月のジュネーブショーでは3代目が公開され、10月に正式発表されたことで、3代目フィエスタの生産は終了した。