1989年にアコードの上位車種として誕生したインスパイアは、2007年12月にフルモデルチェンジが行われ、5代目（CP3型）となった。今回もまた先代同様に、北米では「アコード」の名で一足早く発売されたものを日本向けに仕立て直したもので、生産は埼玉製作所で行われている。アッパーミドルクラスに属するインスパイアは、トヨタ「カムリ」、日産「ティアナ」などがライバル。

　エクステリアは、横長のシャープな形状のヘッドランプ、張り出したリヤフェンダーを採用することで、スポーティさをアピール。ボディサイズは先代からさらに拡大され、全長4940mm、全幅1845mm、全高1475mmと、1クラス上のレジェンドよりも大きくなった。インテリアは、ブラックを基調としたトリムに木目調インパネを組み合わせ、上質な空間を演出。シートは、ファブリックが標準となるが、メーカーオプションでレザーも選択可能となる。また低床化とホイールベースの延長（先代比+60mm）により、キャビンスペースがさらに拡大。同時に荷室容量も大きくなり、510Lを確保した。

　装備面では、車速／車間制御機能が盛り込まれたクルーズコントロール、GPS情報や日射センサーにより日射の強さや方向を判断して温度・風量を制御するインテリジェント・デュアル・フルオートエアコンディショナー、電動昇降式のリアサンシェイド、HDDインターナビシステムなどの先進技術が惜しみなく採用されているほか、前席／サイド／カーテンエアバッグ、車両挙動安定化制御システム（VSA）を全グレードに、追突軽減ブレーキ（CMBS）＋E-プリテンショナーを上位グレード「3.5iL」に標準装備するなど、高い安全性を実現している。

　搭載されるエンジンは、新開発3.5L V型6気筒（J35A）の1機種のみ。このエンジンは、走行状況に応じて6気筒、4気筒、3気筒での燃焼に切り替える可変シリンダーシステム（VCM）を国内初採用するほか、吸排気効率や燃焼効率の向上により、同排気量としては異例のレギュラーガソリン指定にもかかわらず、最高出力280ps、最大トルク342Nmを発生。同時に「平成17年排出ガス基準75％低減レベル」認定を取得するなど、環境性能も高い。これに組み合わされるのは5速ATで、スポーティな走行を楽しめるシフトホールド制御が搭載されるのも新しい。

　サスペンションは、フロントにダブルウイッシュボーン、リヤに新開発のマルチリンクを採用し、ダイレクトな操作感としなやかな乗り心地を両立している。ステアリングには可変ステアリングギアレシオ（VGR）を採用し、市街地での取り回し性を向上。タイヤは全車17インチサイズが装着される。