解説
1992年11月、1.5L〜2.0Lクラス(Cセグメント)のベーシックカーとして誕生したインプレッサ。かつてのレオーネの市場を受け継ぐモデルとして、すでにデビューを果たしていたレガシィの下位にラインナップされた。最大のライバルである三菱「ランサー」とともに、世界ラリー選手権(WRC)を舞台に大いに活躍したことでも有名なモデルであり、スポーツモデル「WRX STI」シリーズは、インプレッサの代名詞としてモータースポーツファンを中心に大きな話題を呼んだ。そんなインプレッサは2007年6月にフルモデルチェンジが行われ、3代目(GH)へと進化したのだった。ちなみにワールドプレミアの場となったのは2007年4月のニューヨークショーである。
「SPORTY」「CASUAL」「COMPACT」をコンセプトに開発された3代目インプレッサの大きなトピックはそのボディにある。それまでは4ドアセダンと5ドアショートワゴンの2本立てのラインナップであったが、今回、国内仕様は5ドアハッチバックに一本化された(輸出向けには4ドアセダンも存在する)。ボディサイズは、全長4415mm、全幅1740mm、全高1475mmと、全長が短縮された一方で全幅が拡大され、欧州Cセグメントの平均サイズ、つまり3ナンバー車となったのもポイントである。つまりそのターゲットは国内ではなく、世界に目を向けて開発された。
エクステリアは、アクの強かった先代のイメージを廃し、シンプルかつスポーティなデザインとされた。とくに個性的な形状の逆三角形リヤコンビランプにはLEDが採用され、リヤビューをグッと引き締めている。一方インテリアのクオリティも大幅に改善され、そのデザインも曲線を多用した開放感のあるものとされた。インテリアカラーは「アイボリー」と「オフブラック」の2色を設定。またホイールベースは先代から95mm延長された2620mmとなり、キャビンスペースも前後方向に大きく拡大された。
デビュー当初のグレード構成は、「15S」、「20S」、「S-GT」の3種類。エントリーグレードの「15S」には先代のモデル末期に設定された新世代1.5L 水平対向4気筒DOHC(EL15型)、「20S」には2.0L 水平対向4気筒SOHC(EJ20)、そして先代のスポーツモデル「WRX」に代わるトップグレード「S-GT」には2.0L 水平対向4気筒DOHCターボ(EJ20)が搭載される。最高出力はそれぞれ110ps、140ps、250psを発生。これらに組み合わされるのは、5速MTとスポーツシフト付き4速AT(2.0L車は4速ATのみ)。駆動方式は全車4WDとなるが、1.5L車にのみFFも用意される。
さらに今回シャシーも一新された。サスペンションは、フロントが先代と同じくストラット式、そしてなんといってもリヤが先代のストラット式から新設計のダブルウィッシュボーン式に変更されたのが大きなトピック。これにより、乗り心地と走行性能を両立することが可能となった。さらにエンジン搭載位置を見直すことで、さらなる低重心化を図った。またボディ構造の合理化を図り、骨格に高張力剛鈑を多く用いることでボディ剛性を高めながらも先代比でおよそ20kgの軽量化を実現している。メカニズム面では、坂道発進時にペダルから足を離しても約1秒間ブレーキ力を保持するヒルスタートアシスト、横滑り防止装置(VDC)が「S-GT」にオプション設定するなど、新たな試みもみられるようになった。
そしてデビューから数ヶ月後の10月に開催された東京モーターショーではインプレッサのイメージモデルともいえる待望の「WRX STI」が発表された。これは、従来のパワーユニット「EJ20」をベースとしながらも最高出力を308psまで高めたモンスターマシン。トランスミッションには6速MTを組み合わせ、ほぼ同時期にデビューした三菱「ランサーエボリューションX」をライバルに見据えたハイパフォーマンスモデルとしてラインナップの頂点に君臨している。
主要諸元 " 2007y IMPREZA 20S (2WD) "
寸法・重量 | エンジン・トランスミッション | ||
車格 | Cセグメント | 型式 | EJ20 |
乗車定員 | 5名 | 種類 | 2.0L H4 SOHC 16V |
全長×全幅×全高 | 4415×1740×1475 mm | 気筒内径×行程 | 92.0×75.0 mm |
ホイールベース | 2620 mm | 総排気量 | 1994 cc |
トレッド前/後 | 1495/1495 mm | 圧縮比 | 10.0 |
最低地上高 | 155 mm | 最高出力 | 103kW[140ps]/5600rpm |
重量 | 1340 kg | 最大トルク | 186Nm[19.0kgm]/4400rpm |
ステアリング形式 | ラック&ピニオン式 パワーステアリング | 燃料供給装置 | 電子制御燃料噴射式(EGI) |
サスペンション前 | ストラット コイルスプリング | 燃料タンク容量 | 60 L 無鉛レギュラーガソリン |
サスペンション後 | ダブルウィッシュボーン コイルスプリング | トランスミッション | 4AT |
ブレーキ前 | ベンチレーテッドディスク | 駆動方式 | 4WD |
ブレーキ後 | ディスク | その他 | |
タイヤ前 | 205/55R16 | 生産拠点(国内) | - |
タイヤ後 | 205/55R16 | 価格帯(登場時) | 145.95万円〜259.35万円 |
走行安定装置 | ABS |
関連リンク