DS 3 パフォーマンス
解説
シトロエンは2004年9月のパリサロンにて、それまでのファミリー向けモデル、クサラに代わるニューモデルのC4を発表した。C5、C2、C3に続き、“CITROEN”の頭文字から取ったアルファベット「C」に車格を表す数字を組み合わせた新世代シトロエンのネーミング方式を採用する第4番目のモデルであるこのC4は、フォルクスワーゲン「ゴルフ」が席捲する欧州Cセグメントに投入された。ちなみに同じグループのプジョー「307」と共通の「プラットフォーム2」シャシーを採用し、307とは兄弟関係にあたる。
C4のボディは、先代のクサラと同様に5ドアハッチバック(BERLINE)と3ドアハッチバック(COUPE)の2タイプが用意されている。しかしクサラやほかの多くのライバルと異なる点として、5ドアボディと3ドアボディのデザインが大きく差別化されている点が大きな特徴。フロント周りの造形に差はないが、リヤ周りのデザインは、5ドアでは丸みを帯びた柔らかい印象、3ドアでは垂直に切り立ったガラスを持つシャープかつスポーティな印象を見る者に与える。しかしどちらのボディも、C5から始まった新世代シトロエンのなかでもとくに「シトロエンらしさ」を感じることができ、ライバルのなかでも異彩を放っている。また、CD値0.28(3ドア値)というエアロダイナミクスを実現しているのもトピックである。
インテリアもまた、シトロエンらしく斬新で未来感溢れる雰囲気に仕立てられている。計器類はダッシュボード上部に配された「透過式デジタルディスプレイ」に集約。ディスプレイのコントラストは、周囲の明るさに反応して自動的に変化するのも新しい。そしてC4のインテリア最大の特徴でもある「センターフィックスステアリング」は、かつて1本スポークステアリングやボビン式デジタルメーターを採用していたシトロエンらしさが現れている部分。これは、センター部分が固定されてリム部のみが回転するもので、衝突事故の際にエアバッグを正しい角度で作動することができるという利点を持つほか、独特の操作性とデザイン性を感じさせてくれる。
デビュー当初に用意されたエンジンは、ガソリンが1.4L(90ps/5MT)、1.6L(110ps/5MT・4AT)、2.0L(143ps/5MT・4AT)、2.0L(180ps/5MT)の直列4気筒、ディーゼルが1.6L(92ps/5MT)、1.6L(110ps/5MT)、2.0L(138ps/6MT)の直列4気筒の合計7機種。サスペンションは、兄貴分にC5に採用されているシトロエンのお家芸ハイドロニューマチックは与えられず、通常のコイルスプリングを組み合わせたマクファーソンストラット(フロント)&カップルドビーム(リヤ)。ブレーキは前後ともにディスクブレーキが与えられている。
そんなC4には、しっかりとホットな走りが愉しめるスポーツモデルが用意されている。それは、サクソで初めて設定され、その後クサラやC2にも設定された「VTS」と「VTR」。これらはシトロエンのスポーツマインドを体現するシリーズで、C4では3ドアモデルにのみ設定されている。とくにスポーティなのが「VTS」で、17インチタイヤ、専用セッティングのスポーツサスペンション、ルーフスポイラーなどが与えられている。そのなかでもとくににホットなのが「2.0VTS」。2.0Lエンジンは出力別に138psと180psの2仕様が存在するが、高出力版の180psモデルはプジョー「206 RC」と同じ無段階可変バルブタイミングを採用する高性能エンジンが与えられた最強バージョンで、「VTS」でのみ選択可能となる。ちなみに、兄弟車のプジョー「307」でも同エンジンが搭載されるが、特別なスポーツモデルという位置づけではない。欧州Cセグメントの多くにはホットモデルが用意されるが、C4「VTS」はライバルには無い魅力的なデザインと、走りの性能を両立したクルマ。WRCにおける同社ワークスマシンのベースモデルになるなど、モータースポーツイメージも強い。
主要諸元 " MY05 C4 2.0 VTS "
寸法・重量 | エンジン・トランスミッション | ||
車格 | Cセグメント | 型式 | EW10 J4 S |
乗車定員 | 5名 | 種類 | 2.0L 直4 DOHC 16V |
全長×全幅×全高 | 4274×1769×1458 mm | 気筒内径×行程 | 85.0×88.0 mm |
ホイールベース | 2608 mm | 総排気量 | 1997 cc |
トレッド前/後 | 1505/1510 mm | 圧縮比 | -- |
最低地上高 | -- mm | 最高出力 | 130kW[180ps]/7000rpm |
重量 | 1337 kg | 最大トルク | 202Nm[20.6kgm]/4750rpm |
ステアリング形式 | ラック&ピニオン式 電動パワーステアリング | 燃料供給装置 | 電子制御燃料噴射式 |
サスペンション前 | マクファーソンストラット コイルスプリング | 燃料タンク容量 | 60 L 無鉛プレミアムガソリン |
サスペンション後 | カップルドビーム コイルスプリング | トランスミッション | 5MT |
ブレーキ前 | ベンチレーティドディスク | 駆動方式 | FF |
ブレーキ後 | ディスク | 動力性能 | |
タイヤ前 | 205/50ZR17 | 最高速度 | 227 km/h |
タイヤ後 | 205/50ZR17 | 0-100km/h加速 | 8.3秒 |
走行安定装置 | ABS/ESP |
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