アバルト 500 / 595
アバルト 500 / 595
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解説
1949年にカルロ・アバルトによって興された「Abarth & C.」、すなわちアバルト社は、1950年代後半から1960年代までフィアット車をベースとする過激なチューニングモデルを生産し、これらを販売すると同時にモータースポーツ活動を盛んに行っていた。そんなアバルトは1971年にフィアットに買収され、フィアットブランドの高性能モデルを手がけたり、モータースポーツ活動を支えていた。しかし90年代に入る頃にはフィアット車のスポーティモデルの称号として、かろうじてその名が残されるのみとなり、かつての過激なイメージは鳴りを潜めることになったのだった。
そんなアバルトは、かつての栄光を取り戻すべく復活を遂げた。2007年、フィアットはアバルトを独立したブランドに位置づけ、フィアット・グループ・オートモビルズ社の100%子会社である「Abarth & C. S.p.A.」を設立。新世代アバルトブランドを世に送り出したのだった。その最初のモデルとして白羽の矢が当てられたのが、フィアットのコンパクトモデル、グランデプントである。
2007年ジュネーブショーで発表されたアバルト版グランデプントは、その名の通りグランデプントの3ドア車をベースとする。しかしエクステリアは、ベースモデルとは大きく異なっている。フロントバンパーは専用デザインとされ、ヘッドランプは黒のハウジングに収められる。さらに赤のドアミラー、黒のルーフスポイラー、ボディ両サイドの赤いストライプなどによって、一見してベースとの違いがわかる往年のアバルトらしい過激な雰囲気を醸し出す。そのほか、黒のホイールアーチリム、サイドスカート、個性的なU字型スポークを持った専用17インチアルミホイールなどが奢られ、その強烈な存在感をアピールする。
インテリアもまた、本格的なスポーツモデルらしいスパルタンな仕立て。基本設計はグランデプントのそれだが、サポート性の高いバケットシート、ビルトインタイプのヘッドレスト、ブラックレザー&レッドステッチを施したステアリングとシフトノブを採用。インパネのカラーデザインも専用とされる。
搭載されるエンジンは、通常のグランデプントにも積まれる1.4L 直列4気筒を採用。しかし、IHI製固定ジオメトリーターボチャージャーを組み合わせることで、最高出力を155ps、最大トルクを20.5kgmにまでアップ。さらに、インパネ上にある「SPORT BOOST」ボタンを押してパワーブスートモードに切り替えると、最大過給圧が通常の1.1barから1.6barにまで高められ、最大トルクを10%アップの23.5kgmに上昇させることも可能。この時、電動パワステのセッティングも変わり、よりスポーティなフィールになる。組み合わされるトランスミッションは6速MTのみ。0-100km/h加速は8.2秒、最高速度は208km/hという高性能ぶりを発揮する。
サスペンション形式は、通常のグランデプントと同じく、フロントがマクファーソンストラット、リヤがトーションビームを採用。しかし、フロント側のバネレートを20%ほど高め、車高を15mmダウン。さらにアンチロールバーの径を19mmに拡大するなど、専用のチューニングが施されている。ブレーキは、前後ともディスク式を採用し、フロントにはブレンボ社製4ポッドキャリパーが奢られる。
さらに、グランデ プントにはさらなる過激なバージョンも存在する。「esse esse(エッセ・エッセ=スーパースポーツの意)」と呼ばれるチューニングキットを組み込むことで、さらなる高性能化を図ることが可能。ターボチャージャーをより大型のギャレット製に変更し、最大過給圧を2.1bar(オーバーブースト時は2.6bar)にアップすることで最高出力180psを発生。加えてホイールの18インチ化と20mmのさらなるローダウン化により、過激なドライビングを堪能できる。
なお、日本への導入は、2009年2月から開始されている。
主要諸元 " MY08 GRANDE PUNTO ABARTH "
寸法・重量 | エンジン・トランスミッション | ||
車格 | Bセグメント | 型式 | T-Jet |
乗車定員 | 名 | 種類 | 1.4L 直4 DOHC 16Vターボ |
全長×全幅×全高 | 4041×1726×1490 mm | 気筒内径×行程 | 72.0×84.0 mm |
ホイールベース | 2510 mm | 総排気量 | 1368 cc |
トレッド前/後 | 1476/1465 mm | 圧縮比 | 9.8 |
最低地上高 | -- mm | 最高出力 | 114kW[155ps]/5500rpm |
重量 | 1185 kg | 最大トルク | 201Nm[20.5kgm]/5000rpm 230Nm[23.5kgm]/3000rpm (overboost) |
ステアリング形式 | ラック&ピニオン式 電動パワーステアリング | 燃料供給装置 | 電子制御燃料噴射式 |
サスペンション前 | マクファーソンストラット コイルスプリング | 燃料タンク容量 | 45 L 無鉛プレミアムガソリン |
サスペンション後 | トーションビーム コイルスプリング | トランスミッション | 6MT |
ブレーキ前 | ベンチレーティドディスク (305×28mm) | 駆動方式 | FF |
ブレーキ後 | ディスク (264×11mm) | 動力性能 | |
タイヤ前 | 215/45R17 91Y | 最高速度 | 208km/h |
タイヤ後 | 215/45R17 91Y | 0-100km/h加速 | 8.2秒 |
走行安定装置 | ABS / ESP |