RS4(4th)
RS 7(2nd)
解説
1998年9月に登場したアウディのスポーツカー、TT。弧を描くような造形を持ち、当時としては非常に未来的なデザインを持つモデルであった。そんなTTは、2006年6月にフルモデルチェンジを受けて2代目に進化。先代の流麗なデザインを踏襲しつつ、よりスポーツカーらしいアピアランスと動力性能を手に入れた。当初、2.0L 直列4気筒直噴ターボエンジンを搭載する「2.0TFSI」、シリーズのトップグレードである3.2L V型6気筒エンジンを搭載する「3.2クワトロ」の2モデル構成だったが、2008年デトロイトショーでは、さらなる性能が与えられたハイパフォーマンスモデル、TTSが公開された。ちなみに生産を受け持つのは、標準のTTと同じくハンガリーのジュール工場。
TTSは、S3、S4など一連のアウディ高性能シリーズ「S」モデルの一員として登場。TTとしては初めて「S」のバッジが与えられた。ボディタイプは、クーペとロードスターともに設定。エクステリアは、エアインレット部が拡大された専用フロントバンパー、ハウジングに光沢アルミニウムを採用したドアミラー、ディフューザータイプの専用リヤバンパー、左右4本出しのエキゾーストテールパイプ、R8から始まりA4やA5などに採用されるLEDポジショニングランプ、専用デザインの18インチアルミホイールなど、標準のTTと多くの差別化が図られ、「S」モデルであることをしっかりと主張する。
インテリアは、ホールド性の高いスポーツシート、TTSロゴ入り本革巻きステアリングホイール&シフトノブ、高解像度ホワイトディスプレイによるドライバーインフォメーションシステムの採用など、こちらもまさにスポーツカーと言った雰囲気を醸す。なかでも、ドライバーインフォメーションシステムは、サーキット走行用のラップタイムカウンターが内蔵されているのがトピック。シートは、標準がアルカンターラと本革のコンビネーションでシートヒーター機能も搭載される。インテリアカラーは、標準の「ブラック」に加え、「シルバー」、「シグナルオレンジ」、「マグマレッド」も用意。一方、リヤシートは分割可倒式となり、荷室容量も通常290L、最大700Lを確保するなど、必要十分な実用性を持つ。
ボディは、2代目TTの最大の特徴でもあるアルミとスチールのハイブリッド構造が、TTSにも与えられた。フロントセクションはアウディ・スペース・フレーム(ASF)と呼ばれるアルミニウム、リヤセクションはスチールが用いられ、これらを組み合わせることで前後重量配分58:42を実現。ボディシェル単体の重量(クーペ)は、仮にすべてスチールだった場合と比べておよそ3分の2となる206kgに抑えられている。車両重量もクーペが1415kgとなり、パワーウエイトレシオは5.4kg/psと優秀な数値を誇る。
搭載されるエンジンは、2.0L 直列4気筒直噴ターボの「2.0TFSI」。これは、標準のTTに積まれるものをベースに、カムプロファイルの変更、メインベアリング、ピストンピン、リング、コンロッドの強化、さらにカムシャフトのアップグレードを行うなどの各部チューニングを実施。加えてターボチャージャーの改良、インマニの最適化なども行われ、最高出力は標準の200psから272psにまで高められた。結果、0-100km/h加速が5.2秒、最高速度250km/h(リミッター作動)という大幅な動力性能の向上を実現している。組み合わされるトランスミッションは、3ペダル6速MTと2ペダルMTの6速Sトロニック。後者は、先代ではDSGと呼ばれたデュアルクラッチ式で、シフトノブのほか、ステアリングのパドルでもシフト操作が可能となる。
駆動方式は、アウディ独自の4WDシステムであるクワトロが搭載される。サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット、リヤが4リンク。これらにアルミを多用することでバネ下重量を低減。さらにスプリングも当然強化され、標準のTTから10mmのローダウン化が図られた。そして通常はオプションとなるマグネティックライドシステムが標準採用されるのも大きなトピック。このシステムは、ダンパー内に磁性体粒子の入ったフルードが込められ、減衰力特性を自在に変更できるというもの。路面状況やドライビングスタイルによって自動的に最適な減衰力を割り出し、ドライバーの好みによって「ノーマル」、「スポーツ」の2つのモードの切り替えが可能。ブレーキも大幅なアップグレードがなされており、フロントが340mm、リヤが310mmの大径ディスクが採用される。さらにキャリパーはブラックにペイントされ、フロント側には「TTS」ロゴが入る。ブレーキパッドもスポーツタイプとされ、強力な制動力を発揮する。
ライバルとなるのは、メルセデス・ベンツ「SLK55AMG」、BMW「Z4Mクーペ」、ポルシェ「ボクスターS」、さらには日産「フェアレディZ」など。
日本には、2008年9月にクーペ(左ハンドル)のみが導入された。
主要諸元 " MY09 TTS COUPE "参照:TTSプレスキット
寸法・重量 | エンジン・トランスミッション | ||
車格 | スポーツ | 型式 | |
乗車定員 | 4名 | 種類 | 2.0L 直4 DOHC 16V ターボ |
全長×全幅×全高 | 4198×1842×1345 mm | 気筒内径×行程 | 82.5×92.8 mm |
ホイールベース | 2468 mm | 総排気量 | 1984 cc |
トレッド前/後 | 1555/1546 mm | 圧縮比 | 9.8 |
最低地上高 | - | 最高出力 | 200kW[272ps]/6000rpm |
重量 | 6MT : 1395 kg 6SMT : 1415 kg | 最大トルク | 350Nm[35.7kgm]/2500-5000rpm |
ステアリング形式 | ラック&ピニオン式 パワーステアリング | 燃料供給装置 | 筒内直接噴射式 |
サスペンション前 | マクファーソンストラット コイルスプリング | 燃料タンク容量 | 60 L 無鉛プレミアムガソリン |
サスペンション後 | 4リンク コイルスプリング | トランスミッション | 6MT/6SMT(Sトロニック) |
ブレーキ前 | ベンチレーテッドディスク (340mm) | 駆動方式 | 4WD |
ブレーキ後 | ベンチレーテッドディスク (310mm) | 動力性能 | |
タイヤ前 | 245/40R18 93Y | 最高速度 | 250 km/h |
タイヤ後 | 245/40R18 93Y | 0-100km/h加速 | 6MT : 5.4秒 6SMT : 5.2秒 |
走行安定装置 | ABS/ESP |