それまでのランサーの後継車として、2007年8月に登場したギャランフォルティス。登場から1年後の2008年7月、シリーズの一部改良と同時に設定されたのがスポーツグレード「ラリーアート」である。すでにギャランフォルティスがベースとなる高性能スポーツセダン、ランサーエボリューションXが登場しているが、「ラリーアート」は日常での快適性を犠牲にせずスポーツ走行を楽しむことを目的に開発されたもうひとつのスポーツモデル。ちなみに、「ラリーアート」は先代にあたるランサーやコルトにも設定される三菱のパフォーマンス仕様である。

　エクステリアは、専用フロント＆リヤバンパー、冷却用通気口が開けられたアルミ製ボンネットが採用され、標準グレードと差別化されているのが特徴。空気抵抗を考慮に入れた大開口タイプのフロントバンパーは、冷却性能を高めるだけでなく、メッキをあしらうことでプレミアム感もアップ。リヤバンパーは、整流効果を高め、デュアルテールパイプに対応する。スポーティな印象をより高めるリヤスポイラーはオプションで装着可能。そのほか、フロントグリルやトランクリッドには「RALLIART」ロゴ入りの専用エンブレムをあしらい、れっきとした同社のスポーツモデルの一員であることを示している。

　インテリアはブラックを基調にまとめられ、インパネ部には幾何学的なチェック模様とシルバーのモールが組み合わされたオーナメントパネルを装着。また、専用メーター、本革巻きステアリング＆シフトノブ、アルミ製ペダルを採用するなど、スポーティな雰囲気を演出する。シートは、標準グレードと基本的な設計は同じであるが、ショルダー部に「RALLIART」のタグが入るほか、シート表皮は滑りにくい加工がなされている。

　搭載されるエンジンは、標準モデルと同じ2.0L 直列4気筒（4B11型）だが、これに低〜中速域のトルクを重視したターボチャージャーを組み合わせることで、最高出力240ps、最大トルク35.0kgmを発生する。組み合わされるトランスミッションは、ランサーエボリューションXで初採用された6速2ペダルMT、ツインクラッチSST。ただし、5速、6速のギヤ比を変更し、高速クルージングでの燃費を向上させている。駆動方式は、フロントヘリカルLSD+ACD（アクティブ・センター・デフ）とリヤ機械式LSDで構成されるフルタイム4WD。姿勢制御装置のASC（アクティブ・スタビリティ・コントロール）やABSと統合制御することで、トラクションを向上しつつコーナリング性能も高めている。

　足回りは、サスペンションアーム取り付け部などの剛性を高めたほか、リヤには頑強な鋳鉄製トレーリングアームを採用。同時に硬めのコイルスプリング、チューニングされたダンパーなどを組み合わせることで、スポーティなドライビングを実現している。ブレーキは、フロントに16インチ2ポッドのベンチレーティドディスクを採用。タイヤは、前後とも18インチが装着される。

　2008年12月には5ドアのスポーツバックの「ラリーアート」が登場。2009年12月にはベースとなったギャランフォルティスがマイナーチェンジを受け、それに準じた変更がなされたほか、ヒルスタートアシストシステムが新たに設定された。また、レカロ社製のフロントシートがメーカーオプション設定となった。