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 North American International Auto Show 2009

デトロイトショー

開催期間:2009年1月11日〜1月25日

◆シボレー エクイノックス(フルモデルチェンジ)

 SUVのトレンドが、トラックのシャシーを流用したラダーフレームからモノコックボディに移行している北米市場。コンパクトSUVのエクイノックスもそんな状況のなか誕生した一台で、今回はフルモデルチェンジした2代目が登場した。プラットフォームは「テータ」と呼ばれるもので、新型はオペル「アンタラ」やサターン「ヴュー」とは兄弟関係にある。全長は4771mmとなり、トヨタ「RAV4」などがライバル。搭載エンジンは2.4L 直4(182hp)と3.0L V6(255hp)の2機種が用意され、どちらも直噴式を採用。先代は燃料電池車のベースモデルでもあったが、新型も同様となる可能性が濃厚だ。

◆ビュイック ラクロス(フルモデルチェンジ)

 センチュリー、リーガルの後継モデルとして登場したビュイックのエントリーモデルがラクロス。05年モデルがデビューイヤーだが、今回はフルモデルチェンジを受けた2代目(10年モデル)が登場した。旧態化が進んだ先代シャシー「Wボディ」から、新世代ミディアムサイズの「イプシロンII」プラットフォームを採用したことが大きな注目点。つまりマリブと兄弟関係にある。エクステリアは、先代の4灯式ヘッドランプが保守的な形状になり、より高級感を感じさせるスタイルとなった。エンジンは3.0Lと3.6LのV6を搭載。どちらも直噴タイプとなる。先代に存在したV8はラインアップから外された。

◆キャデラック CTS スポーツワゴン(ニューモデル)

 前年、カリフォルニアで開催されたコンクール・デレガンスで公開されたCTS スポーツワゴンが、デトロイトショーで一般公開された。キャデラックは、CTSをメルセデスなどに対抗させるプレミアムモデルとして位置づけるべく、バリエーションの拡大をねらう。標準のセダン、それをベースとする高性能の「V」モデル、そしてこのスポーツワゴン(10年モデル)が続く。ワゴン化されてもエクステリアの完成度は高く、ラゲッジルームも720Lと広大。本国に投入されるエンジンは、255hpを発生する3.0L V6、304hpを発生する3.6L V6の2機種。これらにアイシン製6速ATが組み合わされる。

◆キャデラック SRX(フルモデルチェンジ)

 ミッドサイズSUV、SRXの2代目が登場した。環境性能がより重要視されるなか、キャデラックはSRXのダウンサイジング化を実施。全幅は拡大されたが、全長を10cm以上、全高を5cm以上短縮。全長×全幅×全高は、4833×1910×1668mmとなった。先代では3.6L V6と4.6L V8エンジンが搭載されていたが、2代目はなんと排気量も縮小。3.0L V6直噴(260hp)と2.8L V6ターボ(300hp)の2機種となり、V8モデルは廃止された。ミッションは両方とも6速AT。駆動方式はFFと4WDが用意され、4WDにはリヤタイヤの左右に最適なトルクを配分する「eLSD」が搭載されたのも新機軸。

◆キャデラック コンバージ(コンセプトカー)

 次世代パワートレインを搭載した、キャデラックの2+2ラグジュアリークーペがコンバージである。技術的なベースは、すでに公開済みのシボレー「ボルト」。リチウムイオンバッテリーをリヤシート下とセンターコンソール下に配置し、163psを発生するモーターのみで走行が可能。バッテリーは家庭用電源から充電可能で、120Vコンセントでは8時間、240Vコンセントでは3時間以内で充電完了する。またこれらのメカニズムに加え、4気筒エンジンも搭載。このエンジンは、バッテリーの残量が少なくなったときの充電器として働くほか、モーターへの電力供給を行い、航続距離を大幅に高めている。

◆フォード トーラス MY10(フルモデルチェンジ)

 2004年、トーラスの後継車として登場したファイブハンドレッドは、08年モデルでマイナーチェンジを受けると同時にネーミングが再びトーラスに戻された。そんな複雑ないきさつをもったトーラスがモデルチェンジを受けて新型が登場。通算6代目の新型トーラスは、先代のビッグマイナーチェンジ版と呼べる内容だが、エクステリアは欧州フォードのエッセンスが盛り込まれ、力強いスタイルに大幅変更されている。搭載されるパワーユニットは3.5L V6の「デュラテック」で、先代から変更はない。トランスミッションは6速ATが組み合わされ、パドルで変速可能な「セレクトシフト」も用意される。

◆フォード シェルビーGTT500 MY10(マイナーチェンジ)

 マスタングの高性能モデルであるシェルビーGT500が、ベース車の改良にともない、マイナーチェンジを受けた。ちなみにスタンダードなマスタングは、前年のLAショーで10年モデルとしてマイナーチェンジモデルが発表済。新型シェルビーGT500は、ボンネットのエアスクープやリヤスポイラーなど、機能を考慮されたエクステリアの変更が実施されている。しかし改良は外観だけに留まらず、パワーユニットも大幅強化。マイナーチェンジ前に設定されていた限定モデル「GT500KR」と同じ、スーパーチャージャーを組み合わせた540hpのV型8気筒がその心臓部に納められる。発売開始は2010年春。

◆リンカーン MKT(ニューモデル)

 08年のデトロイトショーで公開された同名のコンセプトモデルの市販バージョンが、10年モデルとして発表された。その成り立ちは、北米を中心に広がっているクロスオーバーモデルで、ラグジュアリーセダンの乗り心地とミニバンのユーティリティ性をあわせ持つ。3列シートを採用し、メルセデス「Rクラス」がライバル。搭載されるエンジンは、268hpを発生する3.7L V型6気筒と355hpを発生する3.5L V型6気筒ツインターボの2機種。とくに注目すべきは後者のターボモデル。これには、今後フォードが力を入れて展開する直噴ターボ「エコブースト」が採用され、環境性能と動力性能を両立している。

◆リンカーン Cコンセプト(コンセプトカー)

 まだコンセプトカーの段階であるが、革新的技術が盛り込まれたモデルがリンカーン Cコンセプト。フルサイズのセダンやSUVのイメージが強いリンカーンが、小型車マーケット、つまり車名のとおりCセグメントに参入する意思を表明したモデル。搭載されるエンジンは、180hpを発生する1.6L直噴ターボ。フォルクスワーゲンなどが推進する低排気量エンジンに過給器を組み合わせた昨今の思想が盛り込まれ、フォードグループはこれを「エコブースト」と呼んでいる。トランスミッションは、これまた昨今トレンドのデュアルクラッチ式6速MT「パワーシフト」を採用。低燃費・低排出ガスを実現する。

◆クライスラー 200C EVコンセプト(コンセプトカー)

 GMと同じく、クライスラーもまたプラグイン・ハイブリッドカー(レンジエクステンダー)の開発に力を注ぐ。同社はこれらの開発部門「EMVI」を新たに設立し、2008年秋に公開された3台のコンセプトカーに続いて、さらに3台のモデルを発表。200C EVコンセプトはそのなかの1台である。既存の車種を改良したほかのモデルと異なり、これは300の弟分とも言えるミッドサイズの新型FRセダンがベース。リチウムイオンバッテリーと268hpを発生する電気モーターに加え、ガソリンエンジンを搭載することで航続距離を最大640km(モーターのみで64km)にまで伸ばしている。家庭用電源で充電が可能。

◆ダッジ サーキットEV(コンセプトカー)

 クライスラーが注力する電気駆動のモデルのなかで、唯一ガソリンエンジンを搭載しない、純粋な電気自動車がサーキットEV。ベースはロータス「ヨーロッパ」だが、2008年秋に発表された同名モデルと比べると、ダッジのアイコンである十字型フロントグリルを採用するなど、エクステリアのデザインにもメスが入れられた。動力源はリチウムイオンバッテリーで、これに268hpを発生する電気モーターを組み合わせることで、0-96km/h加速は5秒以下、最高速度は193km/h以上という、スポーツカーにとって充分以上の高い動力性能を実現している。航続距離は240〜320kmと日常の使用も問題はない。

◆フィスカー カルマ(ニューモデル)

 カリフォルニア州に、新興メーカー「フィスカー・オートモーティブ」が誕生し、その第一号車であるカルマが正式発表された。フィスカーの最高経営責任者(CEO)は、ヘンリク・フィスカー氏。彼はBMW「Z8」やアストンマーティン「DB9」のデザインを手がけた人物でもあり、ダイナミックな4ドアクーペボディを持つカルマのスタイリングは、どこかアストンマーティンを思わせる。また、大手メーカーを出し抜き、プラグイン・ハイブリッドカーを最初に市販化したのも注目すべき点。2個の電気モーター(あわせて403hp)とリチウムイオンバッテリーに加え、充電用のGM製2.0Lターボエンジンを搭載する。

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