軽自動車メーカーのイメージを払拭するかのように、スズキは登録車（白ナンバー車）の開発に力を注ぎ、2代目スイフトやSX4などのような高い完成度を持ったモデルをワールドワイドに投入して市場から高い評価を獲得してきた。そんなスズキが次に送り出したのがスプラッシュである。スプラッシュは2007年のフランクフルトショーでワールドプレミアされ、2008年春から欧州、10月から日本で販売が開始された。生産はハンガリーのマジャール・スズキ社が行い、日本には逆輸入という形で導入されている。

　スプラッシュはオペルと共同開発されたモデルでもあり、オペルでは「アギラ」というネーミングが与えられている。アギラはオペルブランド最小のベーシックカーに位置づけられ、その初代モデルはワゴンRソリオのバッジエンジニアリング車として販売されていた。そんな経緯もあり、2代目アギラ（＝スプラッシュ）は、車高を高くとって室内空間を稼いだトールワゴンボディを持っている。スプラッシュのライバルとなるのは、フィアット「パンダ」、ルノー「トゥインゴ」、フォード「KA」などの欧州Aセグメントモデルたち。

　プラットフォームは兄貴分であるスイフトのシャシーコンポーネンツを流用しているが、ホイールベースはスイフトから30mm短縮された2360mmとなる。ボディサイズは、全長3715mm、全幅1680mm、全高1590mmとスイフトよりも全長はやや短いが、全高が前述のとおり1590mmと高めの設定。全体的に見るとAセグメントとしては大きめのボディを持っている。エクステリアは、立体的なフロントノーズ、スイフトにも通ずるシャープなヘッドランプ、スパッと切り落とされたようなリヤまわりなど、スズキのイメージを強く打ち出した、若々しくスポーティなデザインに仕立てられている。

　インテリアは、奇をてらわないシンプルなデザインに仕立てられており、高い全高の恩恵を受けて室内空間も大人4人が快適に過ごせる広さを確保している。スピードメーターは視認性に優れた大型単眼タイプが採用され、タコメーターは設定されていない。インテリアカラーは、「ターコイズ」「ブラック」「ブルー」の3色を用意。リヤシートアレンジは簡単な操作でフラットなスペースが確保できるほか、荷室には36Lの容量を持つラゲッジアンダーボックスも設定されるなど、使い勝手にも優れている。装備面では、フロント／サイド／カーテンの6エアバッグ、全席ヘッドレスト＆3点式エアバッグ、イモビライザーが標準装備となるのもトピック。

　日本仕様に搭載されるエンジンは、スイフトにも設定される1.2L 直列4気筒（K12B型）で、最高出力は88psを発揮。これに組み合わされるのは高効率なCVTのみとなる。10・15モード燃費は18.6km/Lと良好な数値を実現し、環境性能も高い。ちなみに欧州では1.0Lガソリン、1.3Lディーゼルも設定される。サスペンションはスイフトと同じくフロントにマクファーソンストラット式、リヤにトーションビーム式を採用。欧州の各地で何度もテスト走行が繰り返され、スイフト譲りの高いハンドリング性能を持っているのもポイント。タイヤは、サスペンションのセッティングにあわせてチューニングされた専用開発のコンチネンタル社製（15インチ）が与えられた。そのほか、ビードレスフロアパネルや制振材のほか、フロントフェンダーカバーやドアに二重シールを採用することで、室内への振動や騒音を低減し、快適な走りを実現している。