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解説
それまで車高の低い3ドアボディがスタンダードだった軽自動車というカテゴリにおいて、車高の高い5ドアのトールワゴンボディを販売のメインに格上げした立役者がスズキ「ワゴンR」である。1993年に誕生したワゴンRは、軽自動車規格内という限られた全長、全幅はそのままに、車高を高く設定することで室内空間を稼ぎだし、デビュー後まもなく大ヒットモデルとなったのだ。ちなみにワゴンR登場以前にも、同様のコンセプトを持つ三菱「ミニカ トッポ」が存在していたのだが、こちらはミニカのボディバリエーションの一つという位置付けで、大ヒットには至らなかった。
そんなワゴンRは、2008年9月に4代目モデルが登場した。「快適・スタイリッシュ・ワゴンR」を開発コンセプトに掲げた新型のプラットフォームは、トール&ボクシーなワゴン、パレットのそれをベースに、フロントサスペンションを新設計したものを採用。ボディサイズは、全長×全幅は当然ながら変更はないものの、全高(2WD車)を先代から15mm高い1660mmに拡大。またホイールベースも、先代の2360mmからパレットと同値の2400mmとされた。エクステリアは、先代までのイメージを踏襲しているが、前傾したルーフライン、後方に向かってキックアップするベルトラインなど躍動感のあるデザインとなっている。また、先代の途中で追加されたスタイリッシュな「スティングレー」も同時にデビュー。こちらは横長のヘッドライト、スケルトンクローム仕様のフロントグリルなど、若年層に訴えるクール系のスタイリングを採用する。また、先代までに存在したスポーティな「RR」は、この「スティングレー」に統合される形で消滅した。
インテリアは、スタンダードモデルと「スティングレー」で異なるインパネデザインを採用。スタンダードモデルでは、カラーがライトグレーとなり、シンプルで見やすい大型自発光メーターを採用するなど親しみやすい雰囲気を持つ。一方「スティングレー」では、ブラック基調にシルバーのアクセントが施されたほか、ブルーグラデーション照明の3連自発光メーター、専用シート表皮、本革巻きステアリングなど、よりグレードが高い仕立てとされている。またどちらも、吸音タイプの成形天井の採用やフロントウェザーストリップの2重シール化など、静粛性の向上にも力が入れられている。シートアレンジは、先代のワンタッチダブルフォールディングリヤシートを継承したほか、前後シートのスライド量をさらに増やすなど、使い勝手を向上。装備面では、イモビライザー、キーレスプッシュスタートシステム、抗アレルゲン+カテキン・エアフィルター付きエアコン、左右独立スライド式ラゲッジボードなどの快適装備に加え、「スティングレー」の一部グレードにSRSカーテンエアバッグ&サイドエアバッグ、軽自動車初の舵角センサー対応コーナリングランプを設定するなど、軽自動車の枠を超えて充実している。
搭載されるエンジンは、直列3気筒(K6A型)の自然吸気とターボ。前者は54ps、後者は64psを発生する。これらのエンジンは、型式こそ先代と同じであるが、シリンダーヘッド周りの冷却システムの改良や吸気系レイアウトの最適化を図り、低速トルクを高めることで市街地での使いやすさがさらによくなった。また従来まで「マイルドターボ」と呼ばれていたターボチャージャーを一新し、加給圧を高めることで最高出力を64psにアップ。これらに組み合わされるトランスミッションは、5速MT(フロアシフト)、4速AT(インパネシフト)、CVT(インパネ)。「スティングレー」の一部グレードにはパドルシフト+7速マニュアルモードを備え、スポーティなシフト操作も愉しめる。駆動方式は2WDのほか、4WDも設定。燃費は、2WD・CVT車で23.0km/Lという優れた値を実現する。
一方でサスペンションも大幅に進化。フロント側は完全に新設計となり、サスフレーム形状の変更、スタビライザー取付けレイアウトの変更、ウレタンバンプストッパーが採用された。リヤ側はダンパー取付け位置の変更やラテラルロッド取付け剛性を高め、フロント側と同様ウレタンバンプストッパーを奢ることで、乗り心地をさらに高めている。タイヤサイズは、13インチ〜15インチが用意されている。13インチ装着車では、最小回転半径が4.3mに抑えられ、取り回し性が高い。また「スティングレー」のターボ車には姿勢制御装置(ESP)がオプション選択可能となり、走行安定性を高めている。
主要諸元 " 2008y WAGON R FX (2WD) "
寸法・重量 | エンジン・トランスミッション | ||
車格 | 軽自動車 | 型式 | K6A |
乗車定員 | 4名 | 種類 | 0.66L 直3 DOHC 12V |
全長×全幅×全高 | 3395×1475×1660 mm | 気筒内径×行程 | 68.0×60.4 mm |
ホイールベース | 2400 mm | 総排気量 | 658 cc |
トレッド前/後 | 1295/1275 mm | 圧縮比 | 10.5 |
最低地上高 | 155 mm | 最高出力 | 40kW[54ps]/6500rpm |
重量 | 5MT : 800 kg 4AT : 810 kg | 最大トルク | 63Nm[6.4kgm]/3500rpm |
ステアリング形式 | ラック&ピニオン式 電動パワーステアリング | 燃料供給装置 | 電子制御燃料噴射式(EPI) |
サスペンション前 | マクファーソンストラット コイル | 燃料タンク容量 | 30 L 無鉛レギュラーガソリン |
サスペンション後 | I.T.L. コイル | トランスミッション | 5MT/4AT |
ブレーキ前 | ディスク | 駆動方式 | FF |
ブレーキ後 | リーディングトレーリング | その他 | |
タイヤ前 | 145/80R13 75S | 生産拠点 | - |
タイヤ後 | 145/80R13 75S | 価格帯(登場時) | 90.825万円〜167.160万円 |
走行安定装置 | ABS(O) |
関連リンク