解説
戦前はスポーツカーメーカーとして名を馳せ、戦後も積極的にレース活動を行ってきたジャガー。そんな同社のスポーツカーの金字塔となるのが、言わずと知れたEタイプ。そしてその血筋を正当に受け継ぐモデルがFタイプである。デビューは2012年のパリサロンだから、Eタイプの誕生からおよそ半世紀後の出来事。その背景にあるのは、00年代後半から盛り上がりつつあった、高級スポーツカーに対する熱烈なラブコール。日産からはGT-R、アウディからはR8、さらにメルセデスはSLS AMGなど、それまでポルシェとフェラーリが牛耳っていたこのプレミアムリーグに他メーカーが続々参入し始めたからにほかならない。ジャガーはFタイプでこれを迎え撃つことにしたのである。
ジャガーの2ドアといえばXKが存在したが、あちらは2+2の豪華なGT。それと入れ替わるように登場したFタイプは、2座のリアルスポーツとして設計されたのが大きな違いだ。成り立ちはジャガーが得意とするFR方式で、軽量化と高剛性化を両立したオールアルミニウムアーキテクチャーを採用する。当初は2座ロードスターのみが用意され、エンジンは3.0L V6+スーパーチャージャー、5.0L V8+スーパーチャージャーを設定。6気筒は標準車が340ps、「S」が380ps、8気筒は「V8S」が495psを発揮。さらに2013年にはクーペが追加され、こちらには550psのV8を積む「R」が選べた。しかしFタイプの進化はさらに続き、2016年ジュネーブショーで最強の「SVR」が登場した。
「SVR」とはジャガー&ランドローバーの新しい高性能車に与えられるブランドで、エンジンは「R」と同じく5.0L V8スーパーチャージャーが積まれるが、最高出力を575psにまで増強。また、駆動方式は4WDとなるのも大きな特徴だ。エクステリアには大型エアインテーク、専用設計スプリッター、リヤウイングなどを装備。ミリグラムレベルの軽量化、新設計サス、エグゾーストを採用し、並み居るライバルを引き離す高い動力性能を誇っている。
主要諸元 " 2016y JAGUAR F-TYPE SVR COUPE "参照:プレスキット
寸法・重量 | エンジン・トランスミッション | ||
車格 | プレミアムスポーツ | 型式 | -- |
乗車定員 | 2名 | 種類 | 5.0L V8 DOHC 32V S/C |
全長×全幅×全高 | 4475×1923×1311 mm | 気筒内径×行程 | 92.5×93.0 mm |
ホイールベース | 2622 mm | 総排気量 | 4999 cc |
トレッド前/後 | 1585/1611 mm | 圧縮比 | 9.5 |
最低地上高 | -- mm | 最高出力 | 423kW[575ps]/6500rpm |
重量 | 1705 kg | 最大トルク | 700Nm[71.4kgm]/3500rpm |
サスペンション前 | ダブルウィッシュボーン | 燃料タンク容量 | 70 L |
サスペンション後 | ダブルウィッシュボーン | トランスミッション | 8AT(クイックシフト) |
ブレーキ前 | ベンチレーテッドディスク | 駆動方式 | 4WD |
ブレーキ後 | ベンチレーテッドディスク | 動力性能 | |
タイヤ前 | 265/35ZR20 | 最高速度 | 322 km/h |
タイヤ後 | 305/30ZR20 | 0-100km/h加速 | 3.7秒 |
◆公式PV(Fタイプ SVR)