自動車メーカーとして長い歴史をもつジャガーだが、EセグメントのSタイプがもっとも下に位置するエントリーモデルあった。しかし2001年2月のジュネーブショーで、Sタイプのさらに下に位置するコンパクトジャガーが登場。その名もXタイプ。これは、メルセデス・ベンツ Cクラス、BMW 3シリーズ、アウディ A4などのプレミアムDセグメントに照準をあわせたモデルであり、ジャガーブランドのさらなる市場拡大を狙ったモデルとして開発された。その期待どおり、デビュー初年度の同社の売り上げを倍増させるほどの人気モデルとなった。生産は、イギリスのヘイルウッド工場が担当する。

　プラットフォームには、親会社であるフォードのミドルクラスであるモンデオのパーツを2割ほど流用。しかし、モンデオと大きく異なるのは駆動方式であり、Xタイプは2.5Lモデルと3.0Lモデルに、「トラクション4」と呼ばれる4WDを採用したのが大きな特徴である。駆動トルクは、ビスカスカップリングによって前後40対60とリヤ寄りに配分。また、姿勢制御装置（DSC）はオプションで装着可能となっている。

　エクステリアは、XJをそのまま短くしたような伝統的デザインとされ、紛れもなくジャガーであることをアピール。インテリアの造型もSタイプやXJを彷彿させるデザインとされている。ボディタイプは当初4ドアセダンのみであったが、2003年9月のフランクフルトショーでワゴンが発表され、翌年春からラインアップに加わっている。

　エンジンは、デビュー当初フォード製のブロックにジャガー独自のヘッドを組み合わせた、バンク角60度のV型6気筒DOHC（AJ-V6）を搭載。排気量は2.5L（198ps）と3.0L（234ps）が用意された。しかし2003年モデルで2.1L V6、2004年モデルで2.0L 直4ディーゼル、2006年モデルで2.2L 直4ディーゼルが追加されてバリエーションを拡大、最終的に5機種のエンジンが設定されることとなった。トランスミッションは、ガソリン車（2.1L、2.5L、3.0L）には5速MTまたはジヤトコ社製5速AT、2.0Lディーゼルには5速MT、2.2Lには6速MTがそれぞれ組み合わされる。

　サスペンションは、フロントはマクファーソンストラット、リヤはジャガーが開発した「トーションコントロールリンク」と呼ばれるマルチリンク式を採用。また「スポーツ」と呼ばれるグレードには、その名のとおり引き締められたスポーツサスペンションが奢られるほかタイヤサイズも通常の16インチから17インチへとなり、ジャガーらしいスポーティなサルーンに仕立てられている。

　2009年モデルでは、セダン、エステートともにマイナーチェンジを実施。エクステリアは、新デザインのバンパー、メッシュグリル＆グラウラーバッジ、ウィンカーランプ内蔵の新ドアミラー、新デザインのアルミホイールなどを採用し、見た目の印象を一新。インテリアは、シートクッションやドアトリムデザインの変更、インパネデザインの変更、新しいウッドパネル素材などが追加され、プレミアムサルーンに相応しいレベルの質感を獲得した。