解説
1998年10月のバーミンガムショーで発表され、翌年春から2000年モデルとして発売開始されたSタイプは、リンカーン LSと共通のプラットフォームを採用し、メルセデス・ベンツ Eクラス、BMW 5シリーズ、アウディ A6などのEセグメントサルーンをライバルに見据えて市場に投入された。その後、2002年春にビッグマイナーチェンジが施され、主にインテリアとメカニズムを一新。同時にスーパーチャージャーを搭載するハイパフォーマンスモデルの「R」が追加された。そして、さらに2年後の2004年1月デトロイトショーでは、再びマイナーチェンジが施された2005年モデルのSタイプが発表されたのだった。
2005年モデルでは、2003年モデルにおけるマイナーチェンジと比べると改良範囲は広くない。まずフロントバンパーの形状が、スタンダードモデルではよりシンプルに、そして「R」モデルではよりアグレッシブな形状に改められると同時に、フロントグリルがややスクウェアな形状に変更された。一方リヤのデザインは大幅にリニューアルされ、よりモダンなリヤビューとなった。さらにボンネットは従来のスチール製から軽量なアルミ製に変更され、ハンドリングのバランスが高められているのもトピックである。ホイールデザインも新しくなり、洗練されたエクステリアとされた。
インテリアは、スポーティなクロノグラフ調デザインのメーターパネルが新たに採用されたほか、「スポーツ」と「R」のインパネトリムが艶消しのアルミニウムに変更され、よりスポーティな佇まいとなった。ただしメカニズム面における変更は無く、ハイパフォーマンス仕様の「R」モデルには従来どおり4.2L V8DOHC+スーパーチャージャーユニットが積まれ、406psの最高出力を発生する。トランスミッションはZF社製の6速ATを採用。足まわりには、CATS(Computer Active Technology Suspension)と呼ばれる可変ダンピング機能をもったサスペンションが奢られ、ブレーキも強化されている。このあたりも、従来型から変更はない。
2007年9月のフランクフルトショーでは、Sタイプの後継車であるXFが登場し、Sタイプの生産が終了した。Sタイプ「R」の血統は、後に登場するXFRに引き継がれた。
主要諸元 " MY05 S-TYPE R "
寸法・重量 | エンジン・トランスミッション | ||
車格 | Eセグメント | 型式 | - |
乗車定員 | 5名 | 種類 | 4.2L V8 DOHC 32V S/C |
全長×全幅×全高 | 4905×1818×1447 mm | 気筒内径×行程 | 86.0×90.3 mm |
ホイールベース | 2909 mm | 総排気量 | 4196 cc |
トレッド前/後 | 1534/1542 mm | 圧縮比 | 9.1 |
最低地上高 | - | 最高出力 | 298kW[406ps]/6100rpm |
重量 | 1800 kg | 最大トルク | 553Nm[56.4kgm]/3500rpm |
ステアリング形式 | ラック&ピニオン式 パワーステアリング | 燃料供給装置 | 電子制御燃料噴射式 |
サスペンション前 | ダブルウィッシュボーン コイルスプリング | 燃料タンク容量 | 69.5 L 無鉛プレミアム |
サスペンション後 | ダブルウィッシュボーン コイルスプリング | トランスミッション | 6AT |
ブレーキ前 | ベンチレーテッドディスク | 駆動方式 | FR |
ブレーキ後 | ベンチレーテッドディスク | 動力性能 | |
タイヤ前 | 245/40ZR18 | 最高速度 | |
タイヤ後 | 275/35ZR18 | 0-100km/h加速 | 5.6秒 |
走行安定装置 | ABS/TCS/DSC |
関連リンク