それまで7世代にわたって生産されてきたミドルクラス「カペラ」の後継モデルとして、2002年5月に誕生したのが「アテンザ」である。エンジンからシャシーにいたるまで、すべてゼロから新設計されたというこのアテンザは、マツダの新しいブランドメッセージ「Zoom-Zoom」を象徴する最初のモデルであり、スポーティイメージを打ち出すマツダブランドのDNAを体現した世界戦略車である。生産は防府西浦工場（山口県）のほか、フォードとの合併会社であるAAI（北米）、さらには一汽乗用車（中国）でも行われている。車名の由来は、イタリア語の「attenzione（注目・配慮）」からの造語で、「細部まで商品力の高い、注目に値する製品である」という意味を込めたもの。ちなみに欧米市場では「Mazda 6」と呼ばれる。

　ボディサイズは全長4670mm、全幅1780mmとなり、前身となるカペラと比較するとふたまわりほど大型化。このアテンザが属するのは、国産車では日産「プリメーラ」やホンダ「アコード」、欧州車ではオペル「ベクトラ」、VW「パサート」、フォード「モンデオ」など数多くのモデルがひしめく欧州Dセグメンであるト。ボディタイプは、4ドアセダン、5ドアステーションワゴン（スポーツワゴン）、そして5ドアハッチバック（スポーツ）の3タイプ。中でも「スポーツ」なるサブネームが与えられた5ドアモデルは、アテンザのイメージを牽引するスポーツモデル。一見トランクがあるノッチバック・セダンのようなスタイルとされ、シャープで躍動感あるデザインとされている。

　サスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン式、リヤがマルチリンク式。これらはすべて新開発されたものが採用され、スポーティかつ快適な走りを実現する。ブレーキはフロントがベンチレーティドディスク、リヤがディスク。

　搭載されるエンジンは、「MZR」と呼ばれる新開発オールアルミ製直列4気筒DOHC。これはフォードグループの中、マツダ主導で開発されたグローバルエンジンであり、広島をはじめ、ディアボーン（アメリカ）、チワワ（メキシコ）、バレンシア（スペイン）各工場で年間150万基規模で生産され、グループ各社のモデルにも順次搭載されている。日本仕様のアテンザに用意されるのは、2.0L／2.3Lの2機種のみ。連続位相可変バルブタイミング機構（S-VT）を備えた2.3Lは178psを発生し、2.0Lでも5ドアのスポーツのみツインサイレンサーが採用され150psを発生する。

　デビュー当初のグレード設定は、2.3Lエンジンを搭載する「23S」「23C」、2.0Lエンジンを搭載する「20F」の計3グレード。その中で最もスポーティな位置づけであったのが「23S」で、ボディ同色スポーティグリルや17インチタイヤなどが採用されている。トランスミッションは、デビュー当初は全車4速ATのみであったが、2002年11月には「23S」のみ5速マニュアルを設定。アテンザ用に専用チューニングされたこの5速マニュアルは、ファイナルギヤが低められ、スポーティな走りに対応しているのがポイント。

　そんなアテンザに、2003年7月の一部改良とともにさらなるスポーツグレード「23Z」が加わった。これはエンジンやトランスミッションこそ「23S」と共通ながらも、18インチタイヤ＆アルミホイール、専用チューニングサスペンション、フロント16インチブレーキ大径ローターなどが採用され、高次元の走りを追及したトップモデル。エクステリアでは、RX-8のイメージボディカラー「ベロシティレッドマイカ」、さらに大型マフラーカッターや赤色塗装が施されたブレーキキャリパーが奢られ、「23S」よりもさらにスポーティに仕立てられているのが特徴。ちなみにこの「23Z」は、5ドアのスポーツだけでなく、スポーツワゴンにも設定される。