1996年8月、「自由形ワゴン」をコンセプトに掲げ、優れたパッケージングが自慢の新しい価値観を持つコンパクトカー「デミオ」が誕生。マツダとしては排気量1.3〜1.5LクラスのBセグメントで大成功を収めたモデルである。そんなデミオが登場から6年の歳月を経た2002年8月、フルモデルチェンジが行われて2世代目が登場した。

　同年5月に登場したDセグメント「アテンザ」に続く新生マツダの第二弾モデルとなる2代目デミオは、コンパクトカーの新しいスタンダードを目指して開発された。生産拠点は広島市の宇品工場のほか、2003年1月より欧州仕様「Mazda 2」としてフォードのバレンシア工場（スペイン）でも生産が開始されている。ちなみに欧州で生産されるマツダ車はこのデミオが初となる。

　「心地よいインテリア」と「走る楽しさ」がもたらす｢解放感｣をテーマに開発された今回のデミオは、先代からボディサイズをひと回り拡大。全長は3925mmにも達し、同じBセグメントのライバルと比較するとやや大きめのボディを持つのが特徴。エクステリアは5角形フロントグリルや吊りあがった形状のヘッドライトなど、ひと目でマツダ車とわかるデザインDNAを持つ。特に前後フェンダーの張り出しが強調され、力強さをアピールしているのが特徴。ボディタイプは先代同様5ドアハッチバックのみであるが、一部グレードではキャンバストップ仕様がオプション選択可能となる。

　搭載されるエンジンは、MZRと呼ばれる新開発のオールアルミ製直列4気筒DOHC。排気量は先代と同じく1.3L（91ps）、1.5L（113ps）の2機種が設定されている。この新型パワーユニットは、等長ロング吸気マニフォールド、連続位相可変バルブタイミング機構S-VT、ステンレス製4-1排気システム等を特徴とし、「動力性能」と「環境性能」を両立しているのがポイント。組み合わされるトランスミッションは4速ATと5速MT。オートマチック全車には姿勢制御装置（DSC）がオプション設定される。

　エンジン同様シャシーも全てが新開発された。この新型プラットフォームは、2002年型にて一新したフォード「フィエスタ」にも採用される。サスペンションは、形式こそフロントがマクファーソンストラット、リヤがトーションビームと従来と同じであるものの、全面新設計のものが採用されている。特にリヤサスペンションにはこのクラスには珍しいモノチューブ式ダンパーが奢られ、走行安定性と乗り心地を大きく高めているのがトピック。ステアリングも同じく新設計の油圧式パワーステアリングを採用している。ステアリングのギヤ比は、先代よりもクイックなセッティングとされ、応答性が高められている。

　モデルバリエーションは、「CASUAL」「COZY」「SPORT」の3グレード。そのなかでもスポーツモデルとして位置づけられるのが「SPORT」である。この「SPORT」のエンジンには、113psを発生する1.5Lのみを搭載。トランスミッションは5速MT、4速ATの両方が選択可能となる。中でも4速ATには、マニュアル操作が可能な「アクティブマチック」がこの「SPORT」にのみ設定されているのがポイントである。エクステリアは専用のフロントバンパー、15インチアルミホイールを標準装備し、他のグレードと差別化。ただし、サスペンションやブレーキなど、足回りは全グレード共通となり、たとえ「SPORT」といえども差別化が図られていない。これは元々、デミオの足回りはスポーティな味付けによるものなのだろう。その証拠にスポーティな走りにも十分応えてくれる足となっている。

　この「SPORT」のライバルとなるのは、トヨタ「ヴィッツRS」などのBセグメントスポーツ達。最高出力は低いものの、その卓越したシャシー性能によってホットハッチとしてのポテンシャルは侮れないものとされているのだ。