2002年3月、マーチはフルモデルチェンジを受けて3代目（K12）へ進化した。この3代目は、先代（K11）と比べると実に斬新なスタイリングが大きな話題となった。2003年7月、2004年4月の一部改良を経て、デビューから3年半が経った2005年8月、マーチに初のマイナーチェンジが行われた。

　このマイナーチェンジでは、エクステリアのデザインに若干の変更が加えられたのがトピック。従来の可愛らしいイメージはそのままに、フロントグリル、前後バンパー、リヤコンビネーションランプの形状が一新され、スタイリングがリフレッシュされた。一方インテリアではシートクロスやシート形状が見直されたほか、ドアトリムクロスが追加され、質感が高められている。

　さらに、メカニズム面においての大きな改良ポイントは、ノートや1クラス上のティーダに搭載されている1.5L 直列4気筒DOHC（HR15DE型）エンジン＋エクストロニックCVTが、マーチに新採用されたことであろう。これでエンジンラインナップは1.2L、1.4L、1.5Lの3種となり、グレード体系が大きく見直されたのである。ちなみに1.4Lは後輪をモーターで駆動する「e-4WD」搭載車のみの設定となった。

　このマイナーチェンジでは、日産の関連会社であるオーテックが手がけたスポーツモデル「12SR」にも大きくメスが入れられた。エクステリアの変更点は、今回から「SR」シリーズ専用デザインのフロントスポイラー、リヤアンダープロテクター、大型ルーフスポイラーが採用されたこと。これにより、標準モデルと明確な差別化が図られ、スポーツモデルとしての位置づけがより強固なものとなった。また15インチアルミホイールも新デザインに変更された。

　メカニズム面での変更点は、CR12DE型エンジンをベースに、圧縮比アップ、カムプロフィール変更、フライホイール軽量化などの従来同様のチューニングに加え、今回新たに専用ステンレス製エキゾーストマニホールドの採用とシリンダーヘッドポート研磨加工を実施。その結果、最高出力は従来型から2psアップの110psとなった。トランスミッションは従来と同じく5速MTのみとなる。

　さらに、専用チューニングサスペンションのセッティングが見直されると同時にパワーステアリングのアシスト特性が変更され、ハンドリングの質感を一層高めている。またフロントブレーキディスクの大径化やハイグリップスポーツタイヤで名高いブリジストン「ポテンザRE-01R」を新採用。またボディにも手が加えられ、テールゲート周りとフロアの剛性がさらに強化された。

　ところで、このマイナーチェンジを機に、3ドア車がシリーズを通して全グレードで廃止。それにともなって「12SR」も5ドアのみとされた。しかし、新エンジンの1.5L（HR15DE）を搭載したスポーツモデル「15SR-A」が追加設定され、バリエーション拡大が図られたのも今回のマイナーチェンジのポイントである。この「15SR-A」は、「12SR」のエクステリアとシャシーに、1.5L＋エクストロニックCVTを組み合わせ、従来まで5速MTのみだったSRシリーズに、2ペダルでドライブできる仕様を設定することで、スポーツモデルの間口が広げられたのだった。