2006年11月にフルモデルチェンジが行われ、12代目（V36型）となったスカイライン。当初はセダンのみのラインナップだったが、2007年4月のニューヨークショーでクーペがワールドプレミアされ、同年10月に日本発売となった。

　インフィニティ Gシリーズとして世界各国で販売されることになった先代のスカイラインから、セダンとクーペのデザインがより明確に差別化されたが、今回もまたその方向性が保たれている。ミドルクラスにおけるピュアスポーツセダンともいえるスカイラインセダンからさらに進化した、スポーティなエクステリアが与えられたのだ。

　エクステリアのデザインは、先代の流麗なフォルムをそのままに、ヘッドランプ内側まで絞り込んだフロントフェンダー、抑揚感のあるエンジンフード、デュアルエグゾーストの採用など、スポーツクーペらしいスタイリングとされている。ボディサイズは、全長4655mm、全幅1820mm、全高1390mmと、セダンと比べてロー＆ワイドなプロポーションだが、ホイールベースは2850mmと、先代同様セダンと同じ値をとる。

　インテリアのデザインは基本的にセダンと同じ造形で、カラーコーディネートはブラック／アルミフィニッシャーとフォーブ／リアルウッド（メーカーオプション）の2種類から選択可能。また、手縫いの平行ステッチが施された本革巻ステアリングや本革巻シフトノブなどを標準装備とすることで、スポーティかつ上級な雰囲気を醸し出している。一方装備面では、BOSEサウンドシステム、サイドブラインドモニター＆バックビューモニターなどがオプション設定され、ラグジュアリーなモデルとして仕立てることも可能。

　そしてV36型スカイラインクーペの最大のトピックといえるのが、セダンと差別化されたパワーユニットの採用であろう。高性能を誇る「VQ35HR」が新たに搭載されたV36型セダンであるが、クーペにはさらに高性能な「VQ37VHR」がその心臓部に納められた。同じV型6気筒ながらも排気量を3.7Lにまで拡大し、さらに新技術「VVEL（ブイベル）」を採用したのが大きな変更点。「VVEL」とは、アクセル開度や回転数などの運転状態に応じて吸気バルブの作動角とリフト量を連続的に変化させてポンピングロスを減らし、レスポンスや出力の向上、さらには低燃費や排ガスの低減などを狙った日産独自の新技術である。これにより最高出力を333ps、最大トルクを37.0kgmにまで高め、さらなる動力性能を獲得したのだった。

　トランスミッションは、スポーツ走行に適した「DSモード」を備える5速ATのほか、セダンには設定の無い6速MTも用意。この6速MTは、1速から3速のトリプルコーンシンクロを採用することで、素早くスポーティなシフトフィーリングを実現している。また、デビュー翌年の2008年12月の一部改良では、5速ATが新世代の7速ATに変更された。サスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン、リヤがマルチリンク式。デュアルフローパスショックアブソーバーの採用により、乗り心地と操縦安定性を両立している。

　グレード構成は、ベースグレードのほか、装備充実の「Type P」、スポーティな「Type S」、トップモデル「Type SP」の4モデル。なかでも「Type S」と「Type SP」は、専用デザインのフロントバンパー＆サイドシルスポイラー、19インチホイールを装着するほか、アルミペダル、マグネシウム製パドルシフト（ATのみ）などが奢られる。さらにアルミキャリパー対向ピストンブレーキ、4輪アクティブステア（4WS）、スポーツチューンドサスペンションを標準装備するなどして走行性能を高め、スポーツクーペに相応しい走りを愉しむことができる。