アッパーミドル級のラグジュアリーカーに相当するクラスがEセグメント。全長は4800mm〜5000mmと、かなり大きめのボディを持つ。排気量は2.0L〜5.0Lと幅が広く、上級グレードにはV8エンジンを設定するモデルも少なくない。そんなEセグメントをベースとしたハイパフォーマンスセダン／ワゴンは、ヘビーな車体ウェイトを持ち高級車に相応しい乗り心地を両立する必要から、Dセグメントスポーツのような鋭敏な走りの軽快感は重視されない傾向にある。しかし、昔からEセグメントには超高性能エンジンを積み込んだスペシャルモデルが存在するのも事実。そのルーツはBMW M5で、初代モデルには高性能スポーツカー「M1」譲りのエンジンが与えられていた。現在ではBMWはもちろん、メルセデス、アウディなどでも500ps〜600ps級の高出力パワーユニットをボンネットの下に収めている。動力性能だけに注目すると一級のプレミアムスポーツに匹敵し、ここ最近のパワーインフレは著しい傾向にある。Eセグメントに参入するのは、基本的にプレミアムブランドのみで、ボディタイプはセダン、ワゴンが中心となっている。ジェントルな佇まいに秘めた獰猛な性能、これがこのクラスのカタルシスと言っていい。